本日の方の報告は、
V-CATS JAPANの理事であり獣医師である、椿先生からです!!
熊本の被災地に、動物医療を届け続けるために。2日間で42頭を診療しました

地震が起きたあと、時間が経てば少しずつ日常が戻ってくるように見えるかもしれません。
けれど、被災した方々と一緒に暮らす動物たちにとって、必要な支援がすぐになくなるわけではありません。
家が被災した。
避難生活が続いている。
車が使えない。
いつもの動物病院へ行くことができない。
飼い主さん自身も大変な生活を送るなかで、
「猫の体調が気になる。でも今、動物病院へ連れて行くことができない」
そんな状況が生まれます。
V-CATS JAPANは、熊本県獣医師会や行政などの関係機関と連携し、被災した方々と動物たちへの支援を続けています。
今回は、その活動の一つとして行った無料診療と、その後も続いている支援についてご報告します。
被災地に「診療できる場所」をつくる
災害時に必要なのは、大きなけがをした動物への救急医療だけではありません。

避難してから食欲が落ちた。
持病の薬を続けたい。
いつもと様子が違う。
かかりつけの動物病院へ行くことができない。
普段であれば動物病院で相談できることが、災害によって突然難しくなります。
だからこそV-CATS JAPANでは、
「動物を病院へ連れて行けないのであれば、動物医療を必要な場所へ届ける」
という考えで活動しています。
現地の状況を確認し、関係機関との調整を重ね、宇城市のウィング松橋を会場に、被災した方々の猫や犬を対象とした無料診療を行いました。
2日間で42頭の猫・犬を診療しました

今回の活動には、V-CATS JAPANから獣医師・スタッフ4名が参加しました。
そして2日間で、合計42頭の猫・犬を診察しました。
診察室にやって来る一頭一頭の後ろには、それぞれの被災生活があります。
自宅が被害を受けた方。
避難生活を送りながら、動物の体調を心配していた方。
いつもの動物病院へ行くことが難しくなった方。
私たちは一頭ずつ診察し、その場でできる治療や必要な対応を行いました。
診察をして、薬を出して、治療する。
もちろん、それも大切です。
けれど現地で飼い主さんと話をしていると、もう一つ大切なことがあると感じました。
それは、
「この子のことを相談できる場所がある」
という安心です。
被災生活のなかで動物のことを心配していても、自分たちの生活を立て直すことで精いっぱいになり、受診をためらってしまうことがあります。
だからこそ、動物医療の側から近くまで行くことに意味があります。
42頭という数字の向こうには、42頭の動物と、その子を大切に思う家族がいます。
診療所を開くだけでは、災害動物医療はできません
被災地へ行き、場所を借りて診察を始めればいい。
災害動物医療は、そんなに単純ではありません。
外部から来た支援団体がそれぞれの判断で動けば、現地の支援をかえって混乱させてしまうこともあります。
どこに支援が必要なのか。
どのような動物が困っているのか。
地域の動物病院とどう連携するのか。
どこで診療を行うのか。
そして、私たちに本当に求められていることは何なのか。
現地の行政や獣医師会などと情報を共有し、一つずつ確認しながら活動を組み立てていく必要があります。
今回の無料診療も、熊本県獣医師会や行政をはじめ、多くの方々との連携があったからこそ実現しました。
V-CATS JAPANが目指しているのは、ただ「災害が起きたから駆けつけるチーム」ではありません。
現地の獣医師、行政、支援者と連携し、その時、その場所で不足している動物医療を補えるチームであること。
それが、私たちが目指す災害動物医療です。

捜索して、保護して、診療して、家族につなぐ
これまでの活動報告では、倒壊した建物に取り残された猫や、全壊した家からいなくなった猫たちの捜索についてもお伝えしてきました。
しかし、災害時の動物支援は、猫を見つければ終わりではありません。
保護した動物がけがをしていれば、治療が必要です。
避難生活のなかで体調を崩した動物には、診察できる場所が必要です。
飼い主さんと離れ離れになった動物には、再び家族のもとへ帰るための支援が必要です。
捜索する。
保護する。
診療する。
そして、家族につなぐ。
これらを切れ目なく支えられる体制をつくることが、V-CATS JAPANが目指している**「猫版DMAT」**の姿です。
熊本での支援は、現在も続いています
無料診療を終えたからといって、V-CATS JAPANの熊本での活動が終わったわけではありません。
災害から時間が経過するとともに、必要とされる支援も変わっていきます。
現在は、動物救護本部が主催する健康相談会で、V-CATS JAPANが所有する診療車を活用していただいています。
診療車があれば、常設の診療施設がない場所でも、動物たちの健康相談や診療につながる環境をつくることができます。
V-CATS JAPANの獣医師が現地へ行って診療することだけが、支援ではありません。
私たちが持つ車両や医療資源を現地で活用していただき、必要なときに必要な場所で動物医療につながれる環境を残すことも、大切な支援だと考えています。
被災直後の捜索・救護から、その後の診療、そして継続的な健康管理へ。
必要な支援の形を変えながら、熊本での活動は今も続いています。
この活動を、一度きりで終わらせないために
今回、2日間で42頭を診療することができました。
そして現在も、私たちの診療車が熊本で活用されています。
でも、私たちが目指しているのは、今回の活動だけを成功させることではありません。
災害は、いつ、どこで起きるかわかりません。
次に大きな災害が起きたときにも、
「動物のことで困っている。でも、どこに相談したらいいかわからない」
そんな飼い主さんと動物たちのところへ、必要な支援を届けられる体制を残しておきたい。
そのためには、平時から準備を続けなければなりません。
診療車を維持すること。
医薬品や医療資材を備えること。
獣医師やスタッフが現地へ向かえる体制を整えること。
捜索や保護に必要な機材を準備すること。
そして、現地の行政や獣医師会と連携できる仕組みをつくっておくこと。
災害が起きてから、すべてを準備することはできません。
何も起きていないときに準備しておくことが、次の災害で一頭でも多くの命と家族を支える力になります。
皆さまのご支援をお願いします
V-CATS JAPANの活動は、私たちだけでは続けることができません。
現地へ向かうための交通費。
診療に使用する医薬品や医療資材。
捜索・保護のための機材。
診療車の維持。
保護した動物の一時預かりや移送。
そして、支援活動を継続するための拠点。
皆さまからいただくご寄付は、被災した動物たちの捜索、保護、医療、移送などの活動と、次の災害に備えるための体制づくりに活用させていただきます。
大きな金額でなくても、一人ひとりのご支援が集まることで、私たちは次の現場へ向かうことができます。
そして、ご寄付だけでなく、この活動を知っていただくこと、周りの方に伝えていただくことも大きな支援になります。
被災したとき、人だけでなく、一緒に暮らす動物たちも取り残されない社会をつくりたい。
そのために、V-CATS JAPANはこれからも活動を続けます。
どうか、この活動を一緒に支えてください。
今回の活動にあたり、ご協力いただいた熊本県獣医師会 小澄会長、環境省、熊本県、家畜保健衛生所の関係者の皆さま、そして支援活動を受け入れてくださった地域の皆さまに、心より御礼申し上げます。
また、大変な状況のなか、大切な動物たちを私たちに任せてくださった飼い主の皆さまにも感謝申し上げます。
そして、V-CATS JAPANの活動を応援してくださっている皆さま、本当にありがとうございます。
皆さまからのご支援を、次に助けを必要とする動物と家族へつないでいきます。
V-CATS JAPAN