アマゾンの危機
アマゾンの森が消えるまで、あと5% ― COP30の今、森の番人と共に一歩を!
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2026/6/1 12:00
活動の近況報告
みなさま、こんにちは。
クラウドファンディング終了から、早いもので半年近くが経ちました。改めまして、たくさんのご支援と応援、本当にありがとうございました。
リターンの手工芸品やタンブラー、無事お手元に届いておりますでしょうか? カヤポの女性たちが一つひとつ制作した作品が、少しでも皆さまの日常の中でアマゾンとのつながりを感じるきっかけになっていたら嬉しいです。
皆さまへのご報告が少し空いてしまいましたが、この間もカヤポ地域での活動や情報発信を続けてきました。今回は、現地での活動やこの半年間に日本向けに発信してきたアマゾン関連の記事もご紹介させていただきます。
1. 現地活動
事業地では、カヤポ先住民族と協働しながら、森林再生と水資源保全に向けた取り組みを進めています。
2024年、ブラジルは歴史的な大規模森林火災に襲われました。国中で被害が広がる中、カヤポ先住民族居住区は、ブラジル国内でも特に深刻な被害を受けた地域の一つとなりました。広大な森林が焼失し、果実はなくなり、影の少なくなった森からは動物たちが姿を消しました。干上がった川では魚も減り、狩猟や採集、食料、水など、森とともに成り立ってきた暮らしそのものが大きな影響を受けました。
カヤポの人々にとって、森は単なる「自然環境」ではありません。食べ物や水を与えてくれる場所であり、文化や知識、精神的なつながりを次世代へ受け継いでいく“生活そのもの”でもあります。こうした状況を受け、地域住民の生活を支える川沿いを中心に、森林再生や水資源保全の活動を進めています。

母親とカシューナッツの種を持ち込むカヤポ民族の少女
苗床の設置と苗木生産
カヤポの住民や現地技術者とともに、森林再生に向けた苗床づくりを進めてきました。苗床には、太陽光発電を活用した簡易給水設備や播種床を設置し、乾季にも対応できる体制を整備しています。苗床はコミュニティに隣接しており、今後は、学校と連携した環境教育の場としての活用も予定されています。
当初は3,000本の苗木生産を目標としていましたが、人々の期待の高さも反映し、なんと7,000本以上の苗木が育成されました!
苗の種類は、地域に自生し、食文化や暮らし、生態系に深く関わる多様な在来樹種たちです。地域の日常の食を支えるカシューナッツ、バカバ(アサイーに似た栄養価の高い果実)、ペキ(脂質が豊富で、地域の食や栄養を支える大切な果実)。
将来的に現金収入への期待も高い野生種のカカオ。土壌を豊かにし、他の植物の成長を助ける働きがある豆科植物のインガ。ババスは、実・葉・繊維などほとんど全ての部分が活用される“暮らしのヤシ”で、食用だけでなく、家づくりや工芸品にも利用されています。
クマル(トンカ豆)やアンジェリンは、将来的に大きな森を形成していく大型高木種で、野生動物の生息環境の回復にもつながることが期待されています。中でもクマルは、桜餅のような甘い香りを持ち、高級デザートや香料にも利用される植物です。国際的な需要も高く、地域にとって重要な換金作物の一つでもあります。(大好きな香りです!)
こうした植物の多くは、ブラジルの都市部ではほとんど知られていません。全国的に広く流通しているのは、カシューナッツやカカオくらい。スーパーには並ばず、地域の暮らしや森の中で受け継がれてきた“森の恵み”です。
また、種子採取には多くの住民が参加しており、女性や子どもたちも協力しながら活動が広がっています。住民たちから採取した種子を購入する仕組みとしているため、地域における新たな現金収入の機会にもつながっています。種子調達は対象村だけでなく、周辺のカヤポの村々にも広がっており、地域を越えた協力関係の構築や知識共有にもつながっています。

苗でいっぱいになった苗床

カシューナッツにカカオ、ヤシ類、雨季の到来を待つ苗たち
森林再生に向けた植栽活動
地域住民の生活を支える川沿いでは、焼失や劣化が進んだ河岸林の再生を進めています。
手法としては、アグロフォレストリー(樹木や農作物などを組み合わせながら、森を回復させつつ、人々の食や暮らしも守っていく方法)と、「Assisted Natural Regeneration(ANR/自然再生促進)」という、自然の回復力を活かしながら必要な場所に補植や植栽管理を行う方法を組み合わせています。植林に加え、自然の力も活かすことで、より広い面積で森林が再生する環境を整えています。
ただ、「木を植える」と一言でいっても、実はその前段階だけでも大仕事です。
まず、作業のための通路(トレイル)を森の中につくらなければなりません。密集した植生の中を、何キロにもわたって少しずつ切り開いていく作業は、想像以上の重労働です。さらに、大量の苗木(これがまた重たい!)を、ぬかるみや草地の中を通って遠くまで運ぶのも大変な作業。活動区域は120ヘクタールにも及び、苗木を積んだ手押し車を押しながら何度も往復するのは、本当に骨の折れる仕事です。
実際に活動を進める中では、植栽の難しさも見えてきました。大きな木が失われ、日差しが強く入り込むようになった場所では、雨季になると草やつる植物が一気に成長し、せっかく植えた苗木が埋もれてしまうこともあります。乾季には逆に土壌が乾燥しやすく、植えた苗をどう守るかも大きな課題です。そのため、苗木の周囲に草を敷いて水分を保つ工夫(マルチング)や、植栽経路の整備など、現地の状況に合わせながら試行錯誤を続けています。
また、近年深刻化している森林火災への対策として、コミュニティ消防団とも連携しながら活動を進めています。

森の中にトレイルを切り開く作業

手押し車で運搬されるカシューナッツの苗
地域主体で進む活動
これらの活動は、もちろん、カヤポの人々自身の議論や合意をもとに実施されています。「どこを再生するのか」「どんな木を植えるのか」「どうやって森を守っていくのか」地域のリーダーや住民たちと話し合いながら進めています。
彼らの社会では、コミュニティに関して「隠し事をしない」ことがとても重要なルールなのだと聞きました。村の真ん中に人々が集まり、何時間も議論を繰り広げる。その姿を見ていると、“森の民主主義”が今も息づいているのだと感じます。
コミュニティで苗を育て、地域に植えていく作業は、実はこの村の人々にとっても新しい挑戦です。特に女性グループの関心は高く、最近では、苗木を各家庭の周りや畑の近くに植え始める動きも広がっています。
「子どもや孫たちが安心して生きていけるように、私たちが生きている限り、森を守り続けなければならない」
そんな女性たちの言葉が、今、実際の活動として形になり始めています。
2. 日本向けの情報発信
現地での活動と並行して、日本向けの情報発信も続けてきました。
クラウドファンディング期間中は、タイミング的にご紹介が間に合わなかったものの、2025年11月のCOP30に関して先住民族たちが何を訴え、どんな役割を果たそうとしているのか、その成果について、現地からレポートしました。
COP30で特に印象的だったのは、世界では近年、「先住民族の領土保全こそが、森林保全や気候変動対策にとって極めて重要である」という認識が、すでに当然の前提として共有されていることです。
一方、日本では、先住民族に対して「伝統文化の守り手」「自然と共に生きる人々」といったイメージで語られることもまだ多いように感じます。彼らはすでに国際会議で発言し、企業や政府と交渉し、世界の気候変動政策に影響を与えるアクターになりつつあることを実感しました。
また、2026年2月には、穀物輸送インフラ整備に関する大統領令に反対するため、先住民族たちがカーギル社関連施設を占拠する抗議行動を実施。その後、大統領令の撤回につながる出来事もあり、現地では「歴史的な勝利」とも呼ばれました。
アマゾンでは近年、大規模インフラ開発や穀物輸出拡大による森林破壊への懸念が高まっており、今回の出来事は、「先住民族が実際に政治を動かした象徴的な事例」として受け止められています。
この半年間だけを見ても、先住民族たちが政治的・社会的な力を少しずつ強めてきていることを、現場で強く感じています。
▶︎主な寄稿・掲載記事
- 朝日新聞 with Planet「『ここにはすべてがある』 アマゾンから訴える森林消滅の危機」
- 朝日新聞 with Planet「気候変動対策、先住民族の権利と役割を明示 アマゾンのCOP30」
- Ideas for Good「“森を守る者たち”のCOP30。気候危機の最前線で、先住民族が結束【現地レポート】」
- Ideas for Good「『森と川が何を意味するか、私たちは知っている』アマゾンとともに生きる先住民族が戦う理由」
皆さまからのご支援が、森を守る一歩に確実につながり始めています。あらためまして、本当にありがとうございます。
アマゾンの森を、皆さまと一緒に守っていけることを、とてもうれしく感じています。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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