皆さんこんにちは!ドキュメンタリー写真家の森佑一です。
こちらの活動報告では、ピースベアラーを始めヨルダン川西岸南部のマサーフェル・ヤッタで支援活動を行なっている人々の声を紹介してきました。
長年イスラエル当局による占領や入植被害などに晒されている厳しい状況の中、彼らは希望を感じられる様なポジティブな情報を伝えてくれていました。しかし、ここへ来て現地の状況がさらに悪化していることが窺えるメッセージが届いています。
いつも通りイヤールさんから届いたメッセージや情報を翻訳・編集して以下ご紹介します。是非ご一読ください。
大規模な解体部隊が、マサーフェル・ヤッタのジンバ村に到着。これまでに少なくとも17棟の建物が取り壊され、パレスチナ人住民1人が逮捕された。
今朝(9月23日)、イスラエル当局の大規模な解体部隊がマサーフェル・ヤッタ南部のジンバ村に到着した。部隊は現在、村の北西部にある建物の大部分を取り壊した後、学校や診療所がある村の中心部で活動を行っている。
これまでに、17軒以上の家屋や羊小屋に加え、太陽光パネルや貯水タンクも取り壊された。部隊は現場に留まり解体作業を続けている。
背景:
今日の取り壊しは、先月(8月)からこの地域一帯で続いている一連の大規模な取り壊しの延長線上にある。
ジンバは、以前に取り壊しが行われたアル=ファキート、アル=タバン、ハレット・アル=ダバアと共に、1980年代にイスラエルが「射撃区域918」と宣言した地域にある12の村の一部だ。この宣言は後に、この地域からのパレスチナ人の追放と民族浄化を正当化するために利用された。
2022年、イスラエル最高裁はイスラエル軍の主張を支持し、イスラエル法に基づいて同地域の村々を追放する完全な権限を国家に与えた。
この判決を受けて国連の人権専門家は、マサーフェル・ヤッタのパレスチナ人住民が「国際人道法および国際人権法に著しく違反する、強制立ち退き、恣意的な追放、および強制移送の差し迫ったリスクに直面している」と述べた。
イスラエルの裁判所の判決に対し、複数の国が懸念を表明。EUは声明を発表し「約1,200人のパレスチナ人の強制移送や住宅破壊のリスクを高めている」と述べた。さらに「射撃区域の設置は、占領下にある住民を移送するための『やむを得ない軍事的理由』とはみなせない」と付け加えた。
2022年5月13日、フランス、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、マルタ、ポーランド、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデンの各国外務省は共同声明を発表し、「イスラエル当局に対し、特にマサーフェル・ヤッタにおいて、計画されている取り壊しや立ち退きを一切行わないよう」強く求めた。
ノルウェーは、英国やフランスと共に、国連安全保障理事会において、同地域での住宅破壊がパレスチナ人住民に対する強制移送にあたる可能性があると指摘していた。
今日、ここ数週間で4回目となる解体任務が実行された。他3回の取り壊しは以下の日程で行われた。
8月18日、アル=ファキート村とアル=タバン村にある3軒の家屋に加え、羊小屋や貯水槽が破壊された。
9月2日、アル=タバン村の建物がすべて破壊された。今日に至るまで、住民たちはかつて自宅があった土地に留まり続けている。
9月8日、解体部隊がアル=ファキート村に再び乗り込み、村の北部全域を破壊した。同日遅く、部隊はハレット・アル=ダバア村でも住宅1軒、洞窟、貯水槽を取り壊した。
これらの一連の出来事は、同「射撃区域」内における過激なイスラエル人入植者による日常的な嫌がらせや暴力、そして前哨基地の継続的な拡大と並行して発生している。
今日の取り壊しが行われている最中も、イスラエル人入植者による新たな前哨基地の建設は続いている。
【参考】Security forces razing hamlet in West Bank’s Masafer Yatta, as evictions ramp up
【写真】情報交換をするNGOベツセレムのスタッフや活動家たち=2024年1月、ヨルダン川西岸マサーフェル・ヤッタ
みなさん、こんにちは。
皆さんと大切な方々が、無事で健やかにお過ごしであることを願っています。
普段は、私たちのマサーフェル・ヤッタにおける素晴らしい出会いについてお伝えしています。それらは、厳しい現実に少しの光と希望をもたらしてくれる出会いです。
サーカスの活動、大工仕事、模型飛行機の製作、砂漠での野菜栽培、パレットを使ったプランター作製プロジェクト、女性のエンパワーメント、子どもたちとのアクティビティ、一緒にコーヒーを飲む時間、そして何よりも―心と心が通い合う、素朴な人間同士のつながりです。
しかし今回は、いつもと異なることについて書いています。
ここ数週間、事態は深刻な悪化をたどっています。先週(9月2日)、キルベット・アル=タバンのコミュニティにある家屋が全てが取り壊され、ここ数日間では、マサーフェル・ヤッタにあるキルベット・アル=ファキートの家屋も破壊されました。
ベツセレムの新しい報告書では、イスラエ当局の関与と支援のもと、より広範囲に渡るパレスチナ人コミュニティの追放や武装したイスラエル人入植者による暴力について詳述されています。
今回、皆さんに金銭的な支援をお願いするつもりはありません。皆様が持つ人脈や影響力を活用していただきたいと思っています。
イスラエル国内であれ海外であれ、もしあなたが軍や警察、司法、民政局、政界、外交、メディア、人権団体など、あらゆる分野において影響力を行使できる人々との繋がりをお持ちなら、今こそそれを活用してください。
要請を行い、質問を投げかけ、警鐘を鳴らしてください。行動を起こせる人々の注意を現地の実情へ向けさせてください。
特に重要なのは、マサーフェル・ヤッタで起きている出来事が、単なる地域ニュースに留まらないようにすることです。家屋が取り壊されて、家族が住む場所を失った後に初めて世間の目に触れるようではいけません。
今週、ベツセレムは「消去プロジェクト(The Erasure Project)」と題する新たな報告書を発表しました。この報告書は、2023年10月以降に収集された2,000件以上の証言をはじめとする様々な情報源に基づいています。
報告書は、ヨルダン川西岸で起きている出来事をパレスチナ人の生活やコミュニティに対する広範かつ継続的な破壊行為の一部として提示しています。
もしあなたが何らかの影響力を持つ立場にあるなら、「役に立たないだろう」と決めつけないでください。連絡を取ってください。情報を共有してください。何ができるか尋ねてください。
この現実を、別の人、別の機関、あるいは別の影響力の及ぶ場に知らせるあらゆる行動が変化をもたらす可能性があります。
私は、状況の悪化を食い止め、人々を守り、ここでの生活に「人間の尊厳」という単純かつ根源的な価値を取り戻せる可能性があると信じています。
痛みと感謝込めて、
イヤール・シャニ(ピースベアラー)